「気を振う」啓発録その②

こんにちは!教務スタッフの南です。少し肌寒くなり、受験生にとっては勝負の2学期です。うかうかしていると時間はあっという間に過ぎてしまうものです。今一度気合を入れ直して期末テストに向けて頑張りましょう。

さて、私は以前の匠通信で「啓発録(けいはつろく)」を紹介しました。改めてどのようなものなのか説明しますと、啓発録は江戸時代末期、越前国(今の福井県)出身の橋本佐内という人物が15歳の時に自分の生き方の指針として記した文章です。

その中には5つの指針が記されていますが、前回はそのうちの1つ目「稚心(ちしん)を去る」というものを紹介しました。今回は2つ目「気を振う」というものを紹介したいと思います。

②『気を振う』:気とは、人に負けたくないと思う心のこと、つまり負けん気のことです。なにも努力せずに他人に負けるということはむしろ恥ずかしいことだと佐内は考えました。常に頑張る気持ちを持って、気を奮い立たせる心がけこそが大事だという考えがこの「気を振う」という言葉に込められています。

話は変わりますが、この啓発録は福井県の学校では独自の教材を使って授業の中で扱うこともあるようです。実際、私も高校入学時に啓発録の全文を原稿用紙に書き写すという課題に取り組んだ覚えがあります。その時は深く読み込むこともせず、ただ何となく良いことが書いてあるなぁ程度の感想を持っただけだったのですが、大人になって改めて読み返してみると本当に大切なことが書いてあり高校生の時になぜもっと深く考えなかったのだろうと少し後悔しました。

佐内が記したように、負けん気というのは非常に大事だと思います。例えば、受験というのは学力ではほぼ差がない者同士で点数を争うものですが、当日の会場の独特な空気感の中、また初めて顔を合わせるライバルたちが周りにいる中で自分の実力を最大限に発揮し合格をつかみ取るのか、はたまたライバルたちを前に涙を呑むことになるのか、やはり最後は気持ちの問題なのではないかと思うのです。自分に負けたくないという気持ちが成長を生み、ライバルに負けたくないという思いが勝利をもたらすのだと思います。

特に受験生の皆さんには「絶対に志望校に入ってやる!」という気持ちを切らさずに、受験勉強に励んでほしいと思います。そして、下級生の皆さんはそんな先輩の姿を見て、「年下だからって負けていられない!」というくらいの気概をもって頑張ってほしいと思います。

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