共通テストを振り返る

みなさん、こんにちは!スタッフの井上です。去る1月14日・15日に本年度の大学入学共通テストが実施されました。今年も試験時間が1分短かったなども一部会場でありましたが、昨年と比べ大きなトラブルなく終了しました。また、共通テストも3回目の実施となり、少しずつ出題形式などの方向性が固まってきたように感じます。さて、今年の共通テストはどうだったのでしょうか。今回は、本年度の共通テストについて振り返ってみたいと思います。

昨年、平均点が37.96点となり大きな衝撃が走った数学ⅠAですが、1A・ⅡBともに昨年度から20点ほど平均点をあげ、60点前後となりました。ⅡBについては、64.8点となっており、むしろ例年よりかなり高い平均点となっています。

続いて、英語ですが、こちらは昨年よりも難化傾向となりました。まず、生徒から多く聞かれたのは、ワード数が多くなった感じた、という声です。実際には、昨年度と比べて微増でほぼ変わっていないのですが、そのように感じた原因の一つに、ほぼすべての問題で資料・グラフが出題されたということです。ワード数がそこまで大きく変わらなくても、図表が増えれば、それだけ読み取る情報量が増え解答時間が増加します。したがって、実際にはスピードがより要求されます。保護者様のなかにもTOEICの対策をされていらっしゃる方がいるかも知れませんが、現在の共通テストは、時間に対するワード数で言うとTOEICとほぼ同じです。ですから、最後まで解ききるのが、そもそもかなり難しいテストとなっています。

さらに国語ですが、こちらは今年大苦戦した受験生も多いのではないでしょうか。平均点はあまり変わりませんでしたが、体感的には昨年より少し難しくなったと感じました。まず、古文漢文は、いよいよ知識問題がほぼなくなり、読解力勝負の出題となりました。そして、第1問 評論も、複線型、つまり一つの大問に2つの文章が出題されています。また、第2問 小説では、設問数が増えたこと、そして、問7で広告という視覚的材料が提示され、それを踏まえて解答する出題がありました。センター世代の我々からすると、ちょっと想像も出来ないような問題です。

理科や社会においても、長文化・資料問題の増加の傾向が強くみられます。なかには、見開き1ページがほぼ問題文で、マークは1問しかついていないという問題もみられます。全教科をとおして、圧倒的な読解力が必要とされるようになりました。より具体的にいうならば、まず、語に対する知識です。母国語として当たり前のように普段使っている言葉にたいして、どれだけ深い理解があるかということ。なんとなく使っているけれども、実際意味を問われると答えに困る語なんて、たくさんありますよね。そういった言葉に疑問を持ち、辞書を引いてきた経験、あるいは読書の経験などの蓄積が必要だと思います。そして、大意を掴む力です。以前のセンターは、言い換え表現などをいわばパズルのように拾ってきて、誤答を消して消去法的に解くのが一般的でした。しかし、共通テストは、選択肢の構造や、資料の出題・複線型になったことで、自分で大意を掴み解答を考えることが避けて通れなくなりました。ますます、短期的に受験対策をするということが難しくなってきた言わざるを得ないでしょう。共通テスト導入時には二転三転した印象がありましたが、この3年で大きな方針は貫こうという姿勢がみてとれますね。今年の受験も、いよいよ佳境です。一般入試へ向けて、再度気持ちを切り替えて頑張っていきましょう。